2025/12/17
市販薬では治らない泌尿器トラブル – 受診のタイミングの目安とは?
いわさ泌尿器科クリニックです。2025年も師走を迎え、年末に差しかかってまいりました。
この時期は気温の低下や疲れの影響で、「トイレが近い」「排尿時に痛む」「残尿感がある」などの泌尿器トラブルが増える季節です。加えて年末年始は診療日が限られて受診できない状況も起こりやすく、市販薬でしのいでしまう方も多いかと思います。
しかし、膀胱炎・前立腺炎・前立腺肥大症・尿路結石など、多くの泌尿器疾患は市販薬だけでは根本的に改善しにくい場合があります。
そこで本記事では、市販薬で治りにくい泌尿器トラブルの特徴とその理由、受診のタイミングについて、解説いたします。忙しい年末を快適に過ごすための一助として、ぜひ参考にしてみてください。

市販薬で治りにくい泌尿器トラブル
泌尿器の症状には、市販薬で一時的に楽になっても、原因が解消されず再発・悪化しやすいものが多くあります。
代表的な疾患と、市販薬が効きにくい理由を以下にあげます。
- 膀胱炎(特に細菌性膀胱炎)
膀胱炎の多くは細菌感染が原因です。症状の出始めなど、市販薬で症状の改善がみられても、菌自体には効かないため再発を繰り返します。また、放置して腎盂腎炎へ進行した場合はより深刻な状況となるため注意が必要です。
【市販薬で治りにくい理由】
- 原因菌に合った抗生物質が必要
- 痛みは取れても、感染は残りやすい
- 発熱・血尿がある場合は市販薬では対応不可
- 前立腺炎(急性・慢性)
細菌性・非細菌性どちらも、市販薬では十分な改善が難しい疾患です。
【市販薬で治りにくい理由】
- 前立腺に届く抗生剤が必要
- 長期治療が必要な場合が多い
- 放置すると排尿困難や会陰部痛が悪化し、治療が必要になる
- 前立腺肥大症
進行性の病気で、市販薬では症状の一時的緩和にとどまります。
【市販薬で治らない理由】
- 市販薬は、前立腺の肥大そのものに作用しない
- 専用の治療薬(α遮断薬、5α還元酵素阻害薬)が必要
- 尿路結石(尿道・尿管結石)
市販薬は痛みを抑えるだけで、石そのものは排除できません。発見が遅れると腎機能を損なう危険性があるため、注意が必要です。
【市販薬で治りにくい理由】
- 原因である「石」は取り除けない
- 石の大きさ・位置による適切な治療が必要
いずれも、痛みや不快感は軽くなっても、病気そのものは治らないという共通点があります。
放置すると危険なサイン/受診のタイミング
次のような症状がある場合、市販薬では対応できないため、速やかに医療機関を受診してください。
- 緊急を伴う症状がある
これらの症状は、腎盂腎炎・尿路結石の嵌頓・急性前立腺炎など緊急度が高い可能性があるため、速やかに医療機関へ相談してください。
- 市販薬で少し良くなったが違和感が続く
- 排尿時の軽い痛み
- 残尿感
- なんとなくムズムズする感じ
市販薬を飲んでもこれらの症状が続く場合、原因菌や炎症が残っている可能性が疑われます。少しでも気になる症状は続く場合は、早めの受診を推奨いたします。
おわりに
泌尿器症状は、軽い段階で治療を始めるほど早く治り、悪化も防げます。
- 「少し変だな…」と思った時点で受診
- 症状があるなら休診前に受診
- 強い症状なら即相談
という判断基準を持っておくと、より安心につながります。
忙しい師走の時期こそ、泌尿器トラブルを悪化させず、安心して年末年始を過ごすために、早めの受診を心がけることを推奨いたします。
※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。
