2025/5/21
梅雨の時期は前立腺炎にご注意ください│男性泌尿器科(越谷・春日部)
いわさ泌尿器科クリニックです。今年も梅雨の季節が近づいてまいりました。
梅雨は季節の変わり目であり、湿度が高くなることで細菌が繁殖しやすくなります。
また、気圧の変化による自律神経の乱れや免疫力の低下が重なり、前立腺炎・膀胱炎・尿路感染症などの発症リスクが高まる時期となります。
前立腺炎は、前立腺という男性特有の臓器に炎症が起こる病気で、男性にのみみられる疾患です。
原因としては、細菌感染によって発症する場合と、長時間のデスクワークや座りっぱなしの生活習慣、飲酒、ストレス、運動不足などが関与する非細菌性のものに分かれます。
このような生活習慣に加え、梅雨のような環境の変化が重なることで、前立腺炎の発症リスクはさらに高まると考えられます。
本日は、前立腺炎について、ご説明させていただきます。

~前立腺炎とは~
前立腺炎は、膀胱のすぐ下に位置する前立腺という臓器に腫れや炎症が生じる病気で、以下のような症状を引き起こします。
- 排尿時の痛みや違和感
- 頻尿・残尿感
- 会陰部(陰のうと肛門の間)の不快感や痛み
前立腺炎の原因には細菌性のものと非細菌性のものがあることは先にご説明しましたが、発症の仕方により、さらに大きく2つに分類されます。
- 急性前立腺炎
急激に炎症が起こります。ほとんどが細菌感染(主に大腸菌)によって発症します。
発熱や排尿時の強い痛みなど全身症状を伴うことが多く、抗菌薬による適切な治療が必要です。
急性前立腺炎を放置したり、治療を適切に行わない場合は、慢性前立腺炎へ移行する場合があります。【主な症状】
- 尿を出す際の激しい痛み
- 高熱(38度以上が一般的)
- 頻尿
- 残尿感
- 会陰部の強い痛み
- 下腹部痛や腰痛
【発症しやすい年代】
30〜70代の男性に多くみられ、前立腺肥大症などの基礎疾患をもつ方や高齢者に特に多く発症します。
- 慢性前立腺炎
3か月以上にわたって不快な症状が続きます。細菌感染ではなく、原因がはっきりしない場合が多く、ストレスや生活習慣、長時間の座位姿勢などが関与していると考えられています。
痛みや違和感が前立腺周辺だけでなく、下腹部や下半身に広がることもあり、症状が多様で個人差があります。【主な症状】
- 下腹部に鈍く重い痛みがある
- 足の付け根(鼠径部)付近の不快感
- 排尿時の痛み・違和感
- 会陰部の違和感や鈍い痛み
- 頻尿
【発症しやすい年代】
- 20〜40代の比較的若い男性に多くみられます。長時間のデスクワークや乗り物での移動、運転などによる前立腺への振動や圧迫、またストレスや運動不足などの生活習慣が関与していると考えられます。
慢性前立腺炎は再発しやすく、体調やストレスなどの精神状態によって症状が悪化することも少なくありません。
~梅雨時期との関係について~
前立腺炎の症状は、梅雨や冬などの気温差が大きく、湿度の高い季節に悪化しやすいとされています。
特に梅雨の時期は、身体的・環境的な要因が重なることで、前立腺炎の発症や再発のリスクが高まる場合があります。
- 急激な気温の変化や冷房の使用により体が冷えやすくなり、血行不良や免疫力の低下を引き起こします。
- 気圧の変動によって自律神経のバランスが崩れやすくなり、ストレスと関連の深い慢性前立腺炎の悪化を招く場合があります。
- 梅雨の季節は、雨で外出の機会が減り、逆に室内で過ごす時間が増えがちです。このため、座位で過ごす時間が増え、骨盤内の血流がいっそう滞りやすくなり、前立腺へのうっ血が生じて、炎症の悪化につながることがあります。
【身体的・環境的要因】
このように、体の冷えや血流障害、自律神経の乱れといった複数の要因が重なることで、前立腺炎の発症リスクが高まる場合があります。
そのため、日常生活の中で体調管理や冷え対策、生活習慣の見直しを意識することが大切です。
~予防と対策~
- 長時間の座りっぱなしを避ける
1時間に一度は立ち上がり、軽くストレッチを行うことで骨盤内の血流を促進します。
- 冷え対策を行う
冷房の効いた部屋では、腹部や腰を冷やさないよう衣類やひざ掛けなどで保温を心がける。
- 十分な水分補給を行う
尿の流れを良くすることで、膀胱内の細菌を洗い流し、感染予防につながります。
- ストレスを溜めず、十分な睡眠をとる
自律神経のバランスを整え、免疫力を維持します。
- 適度な運動を日常に取り入れる
ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を日常に取り入れることが効果的です。
~まとめ~
前立腺炎は、生活習慣や気候の影響を受けやすく、全年齢の男性に起こりうる身近な疾患です。特に梅雨の時期は、冷え・気圧変動・湿度の高さ、座位で過ごす時間の増加といったさまざまな要因が重なり、発症や再発のリスクが高まる季節といえます。
日常生活の中で、長時間の座位やストレス、運動不足などに注意を払い、セルフケアを心がけることは、前立腺炎の予防につながります。
もし、排尿時の違和感や会陰部の不快感など、気になる症状が現れた場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに泌尿器科を受診することが大切です。
気になる症状がありましたら、お気軽にクリニックまでお越しください。
※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。