2025/10/31
2025/26シーズン│インフルエンザワクチン最新ポイントと接種の基準
いわさ泌尿器科クリニックです。
今年も10月からインフルエンザ予防接種が始まりました。
ワクチンは発症や重症化のリスクを下げる最も有効的な予防策で、小児・高齢者・基礎疾患のある方・妊娠中の方は特に接種が推奨されています。
一方で、効果が現れ始める時期や持続期間、接種の適切なタイミングについては、意外と知られていません。
本記事では、最新の公的資料と研究データをもとに、インフルエンザワクチンの種類・作用・効果と持続期間・接種時期を解説いたします。

1. インフルエンザウイルスの種類
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性の発熱性感染症で、ウイルスはA型・B型・C型・D型に分類されます。このうち、ヒトに季節的流行を起こすのは主にA型とB型で、毎年の流行を繰り返す主な原因です。それぞれの特徴を以下にあげます。
- A型:
最も流行規模が大きく、季節性インフルエンザの主な原因です。鳥や豚など多くの動物にも感染し、パンデミック(世界的流行)を引き起こすことがあります。毎年のワクチンにも、2種類のA型(H1N1・H3N2)が含まれます。
- B型:
主にヒトの間で感染が広がります。A型に比べて症状はやや軽めですが、吐き気や下痢などの消化器症状を伴うことがあります。B型には「ビクトリア系統」と「山形系統」がありますが、2025/26シーズンのワクチンにはビクトリア系統のみが採用されています。
- C型:
ヒトでの感染例は少なく、一般的に軽症で流行は限定的です。
- D型:
主に牛に感染するウイルスで、ヒトへの感染や発症は確認されていません。
2. 【2025/26シーズン】インフルエンザワクチンの種類と作用
2025/26シーズンのインフルエンザワクチンは、A型2株(H1N1・H3N2)+B型1株(ビクトリア系統)の3価ワクチンです。近年はB型山形系統の流行がみられないため、3価化によってより実際の流行株に即した予防効果が期待されています。日本で承認・流通している主なワクチンは以下の3種類です。
- 不活化HAワクチン(注射):
最も一般的なタイプで、感染力を失わせたウイルス成分(HA抗原)によって免疫を誘導します。全年齢層に広く使用され、標準的な皮下注射型です。
- 経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト):
鼻にスプレーして接種する新タイプのワクチンで、自然感染に近い粘膜免疫をつくります。2〜19歳未満が対象で、1回接種で完了しますが、喘息や免疫抑制状態の方は接種できません。
- 高用量HAワクチン(エフルエルダ):
60歳以上を対象とした新しい高用量タイプ。通常の約4倍の抗原量(HA 60µg)を含み、加齢による免疫低下を補います。研究では、従来型と比べ発症率を約24%低減したと報告されています。
3. ワクチンの効果と持続期間
インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐものではありませんが、発症や重症化を防ぐ効果が証明されています。主な研究報告では、以下の有効性が示されています。
- 小児(2〜17歳):発症予防効果 約60〜65%
- 成人(18〜64歳):発症予防効果 約40〜55%
- 高齢者(65歳以上):発症予防効果 約40〜50%、死亡率を約80%減少
また、接種者が感染しても入院・重症化リスクが大幅に低下し、発熱や症状の持続期間が短くなることも確認されています。
※当院では成人以上の方を対象にインフルエンザワクチン接種を行っております。
【効果が現れるまでの期間】
接種後およそ2週間で抗体が形成されます。
【効果の持続期間】
免疫効果は約5〜6か月持続しますが、徐々に低下するため毎年の接種が必要です。
4. 最適な接種時期
インフルエンザの流行は日本では12月〜翌年3月頃にピークを迎えます。そのため、10月〜11月中旬までの接種が最も効果的です。ワクチンの効果が出るまでに約2週間かかるため、早めの接種で流行前に免疫を確保することが大切です。
特に2025/26シーズンは、国立感染症研究所の速報で例年より早い流行開始が示唆されており、10月~11月上旬の接種が望ましいとされています。
5. まとめ
2025/26シーズンのインフルエンザワクチンは、A型2株とB型1株(ビクトリア系統)の3価ワクチンに変更され、より流行株に即した予防が可能になりました。
ワクチンの効果は接種後2週間で現れ、約5〜6か月持続します。十分な免疫をつけるため、10〜11月中旬の接種が理想的です。今年は流行が早まる傾向にあるため、早めの予約・接種をおすすめします。
インフルエンザは誰にでも感染する可能性がありますが、予防接種によって発症・重症化を防ぐことができます。手洗い・マスク・十分な睡眠とあわせて、この冬もワクチンでしっかりと備えましょう。
※参考文献・出典
※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。
