2025/8/13

熱中症予防の水分補給、泌尿器科的に正しいのはどれ?

いわさ泌尿器科クリニックです。

夏も後半に差しかかりましたが、まだまだ厳しい暑さが続いています。
この時期は毎年、「熱中症対策のために水分をしっかりとりましょう」という言葉を耳にする方も多いと思います。
しかし一方で、「トイレが近くなるのが困るから…」と水分を控えてしまう方も少なくありません。

もともと頻尿でお悩みのかたや排尿症状を抱えている方にとっては特に、水分のとり方によっては膀胱や腎臓への負担につながることがあります。
では、どのようすれば熱中症を予防しつつ、膀胱や腎臓への負担をかけずに過ごせるのでしょうか。

本記事では、泌尿器科の観点から、熱中症予防とあわせて泌尿器にもやさしい水分補給のコツをご紹介します。残暑を快適に乗り切るために、ぜひご自身の生活に取り入れていただければと思います。

~熱中症と脱水の関係~

高温多湿な環境では、体温調節機能がうまく働かなくなり、体温が上昇して体内の水分・塩分のバランスが崩れます。これにより、脱水症などさまざまな症状を引き起こす状態を熱中症と呼びます。

脱水が進行すると、発汗できず体温が下がらなくなります。さらに腎臓への血流が低下し、尿が出にくくなる・色が濃くなるといった変化が現れます。重度の脱水は腎臓に大きな負担をかけ、「急性腎障害(AKI)」のリスクを高めます。

熱中症を予防するためには、暑さを避けることや体調管理に加え、適切な水分補給が欠かせません。
ただし、頻尿夜間のトイレ回数増加でお困りの方、また糖尿病や心臓・腎臓に持病がある方では、水分の摂り方によっては、かえって膀胱や腎臓に負担をかけてしまうことがあります。
そこで次に、泌尿器科の立場からみた避けたい水分摂取法をご紹介します。

~泌尿器科的にNGな水分の摂り方~

  • 一気飲み(ガブ飲み)

    尿量が急に増え、頻尿尿漏れの原因になることがあります。

  • カフェイン飲料ばかりをとる

    コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには利尿作用があり、かえって脱水を招く可能性があります。

  • アルコールを水分としてカウントする

    アルコールには強い利尿作用があり、体内の水分を失わせ、脱水を進めます。

このような摂り方は、熱中症の予防どころか、泌尿器や腎臓の健康にも悪影響をおよぼします。
では、泌尿器科的に望ましい水分補給とはどのようなものでしょうか。以下に具体的な例をあげます。

~正しい水分補給のポイント

  • こまめに、少量ずつ補給する

    1回150〜200ml程度1〜2時間おきに摂るのが理想です。

  • 水か麦茶がベスト

    常温の水や麦茶など、カフェインレス飲料が泌尿器には負担が少ないです。

  • 汗をたくさんかいた後は電解質も一緒に

    スポーツ飲料や経口補水液(OS-1など)を、汗を大量にかいた後や体調不良時には取り入れる。

  • 尿の色をチェック

    「濃い黄色で、においが強い」場合は脱水傾向にあります。尿の色は「薄い黄色」が正常ですので、目安としてください。

~持病がある方やご高齢者への注意点

前立腺肥大・心疾患・腎機能が低下している方や高齢者では、水分の摂りすぎが逆効果になる場合があります。医師から水分制限の指示がある方は、必ず医師の指示に従い、自己判断で量を増減しないようにしてください。

~おわりに~

水分補給は「多ければ良い」「冷たい方が良い」と思いがちですが、泌尿器の健康を考えると、質とタイミングがとても重要です。
こまめに、カフェインレスで、適量を」が泌尿器科的にもおすすめの水分補給法です。熱中症に気をつけつつ残暑を乗り切るために、体と泌尿器の両方にやさしい水分補給を、ぜひ意識してみてください。

※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。

膀胱炎
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前立腺がん
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