2025/11/22

風呂場だけじゃない!冬のトイレに潜む危険│ヒートショックにご注意を

いわさ泌尿器科クリニックです。

「ヒートショック」といえば、お風呂場での事故を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実は、家の中でもうひとつ注意したい場所があります。それが「トイレ」です。

トイレは暖房が届きにくく、特に深夜や早朝ではトイレ空間が大きく冷え込みます。 この急激な温度差により血圧は変動しやすくなり、夜間頻尿のある方や高齢者、基礎疾患をお持ちの方では、立ちくらみや失神、さらには重大なヒートショックにつながる危険性があります。

本記事では、冬のトイレに潜むヒートショックのリスクとその原因、今日からできる予防策について、解説いたします。

ヒートショックとは?

「ヒートショック」とは、急激な温度差により血圧や脈拍が大きく変動し、失神・心筋梗塞・脳卒中などを引き起こす健康被害のことをいいます。

特に冬場は、暖かい部屋から寒い場所へ移動した際に血管が急に収縮し、血圧が一気に上昇します。その後の急低下を含めたこの“血圧の乱高下”が、心臓や脳に大きな負担をかけ、重大な症状につながりやすくなります。

ご自宅でヒートショックに注意したい場所は?

ヒートショックは浴室で起こるイメージが強いですが、実際には以下のように、家の中で温度差が大きくなりやすい場所でも発生します。

  • トイレ
  • 浴室・脱衣所
  • 玄関

これらはいずれも暖房が届きにくく、急激な温度差が生じやすい空間です。

トイレで起こりやすい理由

多くの家庭では、トイレはリビングや寝室に比べて暖房が届きにくく、冬場は室温が大きく下がります。さらに、換気扇によって冷たい外気が入りやすい構造になっていることも多く、深夜や早朝には室温が10℃以下になることも珍しくありません。

暖かい部屋から急に冷えたトイレへ移動すると、体は寒さに対応するために血管を収縮させ、血圧が急上昇します。その状態で排尿や排便を行うと、副交感神経が働くことで血圧が急激に低下し、この“血圧の乱高下”がヒートショックを引き起こす主な原因となります。

特に注意が必要な方

冬のトイレでヒートショックを起こしやすいのは、次のような特徴をお持ちの方です。該当するほどリスクが高まるため注意が必要です。

  • 高齢者(65歳以上):血管の反応性が低下し、急激な温度差に弱くなります。
  • 高血圧・動脈硬化・心臓病の持病がある方:血圧の乱高下が心臓や血管に大きな負担をかけます。
  • 夜間頻尿がある方:冷え込む深夜・早朝にトイレへ行く回数が増えるため、ヒートショックのリスクが高まります。
  • 便秘や前立腺肥大症などで「いきむ」必要がある方:いきみは血圧の急上昇と急低下を誘発しやすく、危険性が増します。

もしヒートショックが起きたら

もしトイレや脱衣所などで、めまい・ふらつき・立ちくらみ・動悸・冷や汗・意識が遠のく感じなどの症状が現れた場合は、ヒートショックが疑われます。

まずは無理に動かずに安静にし、状況に応じて速やかに救急車を呼んでください。

ヒートショックが起きた場合の対処法

【意識がある場合】

  • その場で座る、または体勢を低くする
  • 深呼吸をして落ち着く
  • 温かい場所へ移動し、10〜15分程度安静にする
  • 症状が続く場合は医療機関へ相談する

【意識がない場合/ご家族の対応】

  • すぐに119番し、救急要請する
  • 呼吸の有無を確認する
  • 無理に動かさない
  • 周囲に人がいれば協力を求める

ヒートショックを防ぐためにできること

冬のトイレは少し工夫するだけで安全性が大きく高まります。今日から無理なく取り入れられる対策をご紹介します。

  • 深夜・早朝のトイレはゆっくり動く
  • トイレでは暖房便座を利用する
  • 便秘・前立腺肥大がある場合は「いきまない」排便習慣を意識する
  • 高血圧や心疾患がある方は定期的に受診をする

まとめ

冬のトイレは、

  • 温度差が大きい
  • 深夜・早朝の利用が増える
  • 排泄時の血圧変動が重なる

という条件がそろい、ヒートショックが起こりやすい空間です。

特に高齢者や基礎疾患のある方はリスクが高く、日常の些細な動作でも大きな負担となる場合があります。
温度差を減らし、ゆっくりした動作を心がけるだけでも事故の予防につながりますので、ぜひ今日から取り入れてみてください。

排尿症状でお悩みの方や気になる症状がある方は、お気軽にクリニックまでお越しください。

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