2025/9/17

紅葉シーズンの旅行で気をつけたい排尿トラブル

いわさ泌尿器科クリニックです。

厳しい夏の暑さが尾を引きますが、ようやく秋の涼しさを感じられるようになりました。これからの季節は、紅葉を眺めながらの旅行や温泉めぐりにぴったりの時期です。美しい景色を楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。

一方で、楽しい旅行の裏側では、長時間の移動や気温差生活リズムの変化による排尿トラブルのリスクが潜みます。特に高齢の方や泌尿器の持病をお持ちの方は、旅行中に症状が悪化するケースも少なくありません。

本記事では、紅葉シーズンの旅行で注意すべき排尿トラブルと、安心して旅行を楽しむための予防法について解説いたします。

~旅行中に起こりやすい排尿トラブル

  • 頻尿尿意切迫

    旅先では長時間のバス移動や観光地でのトイレ不足などにより、頻尿尿意切迫を悪化させやすい条件が重なります。特に過活動膀胱前立腺肥大症をお持ちの方では、「急にトイレに行きたくなる」「我慢できない」といった症状が普段よりも出やすくなります。
    移動中にトイレの不安を感じたり、やっと辿りついても長い行列で困った経験がある方も多いのではないでしょうか。

  • 膀胱炎

    旅行中は水分補給が不足しがちになります。さらに屋外では冷えや寒暖差の影響で膀胱が刺激されやすく特に女性では膀胱炎が起こりやすい傾向があります。 自覚症状としては、「頻尿」「排尿時の痛み」「下腹部の違和感」などが代表的なサインです。

  • 尿路結石

    気温が下がり涼しくなると、喉の渇きを感じにくくなり水分補給が不足しがちになります。その結果、尿が濃くなり尿路結石ができやすい状態になります。 旅先で突然、激しい腰やわき腹の痛みに襲われるケースもあるため注意が必要です。

  • 旅行先での急性尿閉

    前立腺肥大症をお持ちの方は、寒さや飲酒、排尿を我慢することがきっかけで急に尿が出なくなる「急性尿閉」を起こすことがあります。ホテルや旅館で夜間に発症するケースもあり、救急対応が必要になる場合もあるため注意が必要です。

~旅行中に排尿トラブルを予防するポイント~

  • 水分をこまめに摂る

    「トイレが近くなるから」と水分を控える方もいますが、これは逆効果です。脱水は膀胱炎尿路結石のリスクを高めます。そのため、少量ずつ、こまめに水分を補給を心がけましょう。

  • カフェイン・アルコールの取りすぎに注意する

    アルコールやカフェインには利尿作用があり、頻尿尿意切迫を悪化させます。質の良い睡眠をとるためにも、飲酒は就寝3時間前、コーヒーは4時間前から控えることが理想的です。
    ※詳しくはこちらをご覧ください。

  • 防寒対策をしっかり行う

    体の冷えは膀胱や前立腺の負担となり、排尿症状を悪化させます。秋の屋外観光では、厚手の靴下や腹巻を着用するなど下半身を冷やさない工夫をしましょう。
    ※詳しくはこちらをご覧ください。

  • トイレの場所を事前に確認する

    旅行先ではすぐにトイレが見つからず我慢することになりがちです。高速道路のサービスエリアや観光地のトイレの位置を事前に調べておくと安心です。

  • 常用薬は忘れずに携帯する

    前立腺肥大症過活動膀胱の薬を服用している方は、旅行日数分+予備分を持参しましょう。服薬を欠かさないことで症状の急な悪化を防ぐことができます。

~まとめ~

紅葉シーズンは心も体もリフレッシュできる素晴らしい時期ですが、排尿トラブルが旅行の妨げになることもあります。

  • 喉の渇きを感じていなくても、水分補給をしっかりと行う
  • 冷え対策をする
  • トイレの場所を確認する
  • 薬を忘れない

といった工夫で、トラブルは予防が可能です。
万が一、旅行中に排尿症状に加えて血尿・強い痛み・発熱を伴う場合は、尿路感染症結石が疑われますので、早めに近隣の医療機関を受診してください。
体に優しい工夫を取り入れて、秋のレジャーシーズンを存分に楽しみましょう。

※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。

膀胱炎
前立腺肥大
前立腺がん
頻尿
尿路結石
性感染症外来

いわさ泌尿器科クリニック(さいたま・越谷・春日部)
泌尿器科の検査・治療に関してはこちらをご覧ください