2023/11/20

月経時の泌尿器症状 ~膀胱子宮内膜症~ |泌尿器科(越谷・春日部)

いわさ泌尿器科クリニック(越谷・春日部)です。

排尿時に痛みを感じるような場合、多くの疾患の可能性があります。
女性の場合、その痛みの原因が何かということを突き止めるのも難しくなります。
本日ご説明する膀胱子宮内膜症ですが、この疾患は子宮内膜症のひとつです。

子宮内膜症は、女性なら、誰しもが一度は耳にしたことのある言葉かと思います。

子宮内膜症とは、子宮の内側にあるはずの子宮内膜組織が、
子宮の内側以外の場所で発生し発育する疾患で、
起きる場所は卵巣、卵管、子宮と直腸の間、子宮を支えている仙骨子宮靭帯などですが、
まれに膀胱、肺、腸にもできることがあります。

そのひとつである膀胱子宮内膜症(膀胱に発症する子宮内膜症)について、ご説明したいと思います。

~膀胱子宮内膜症とは?~

膀胱子宮内膜症とは、子宮内膜組織が膀胱に生じる病気です。
子宮内膜症のうち、尿路系に子宮内膜組織が存在するものを尿路子宮内膜症といい、
尿路子宮内膜症の約85%を占めるのが膀胱子宮内膜症になります。
尿路子宮内膜症は、子宮内膜症全体の約1%程度といわれるまれな疾患ですが、
診断が困難な場合もあり、泌尿器科での専門的な診断が必要になります。

膀胱子宮内膜症の原因は明らかではなく、いくつかの仮説がありますが、
「月経時の出血が逆流し、子宮と膀胱の間の腹膜に内膜症が生じ、それが次第に膀胱に浸潤する」
という説(月経逆流説)が有力とされています。
月経血が腹腔内に逆流する現象は、90%の女性でみられる生理的な現象になります。

症状としては頻尿排尿時痛等の膀胱刺激症状や血尿月経に一致して出現すること、
月経時に症状が強くなることが特徴です。

具体的な症状を挙げてみます。

~膀胱子宮内膜症の症状~

  • 日中8回以上の頻尿
  • 急に尿意を感じ、我慢することが難しい尿意切迫感
  • 排尿痛
  • 夜間頻尿(2回以上)
  • 突然強い尿意を感じ、トイレに間に合わない切迫性尿失禁(約20%)
  • 血尿(約20~30%)

膀胱炎や過活動膀胱と症状が重なりますが、
こうした症状が、月経周期とともに起きるか増悪する場合は、
膀胱子宮内膜症を疑い産婦人科または泌尿器科で精密検査を受けることをお勧めします。
また、まれに無症状で、偶然発見される場合もあります。

~検査~

膀胱子宮内膜症が疑われる場合や、産婦人科から紹介を受けたときは、
泌尿器科では、尿の精密検査とともに膀胱鏡検査が行われ、
膀胱内に腫瘍が認められた場合は膀胱鏡下で生検し、病理学的検査が行われます。

また、膀胱子宮内膜症を発症した方の約半数は、
骨盤内のその他の部位の子宮内膜症病変を伴っていると報告されており、
その場合は月経痛、月経以外の下腹部痛・腰痛性交痛排便痛といった、
一般的な子宮内膜症の症状も認められると言われています。

婦人科と泌尿器科で連携することが必要になります。

膀胱子宮内膜症は非常に珍しい病気ではありますが、
月経時に出現または増悪する一連の排尿トラブルがみられた場合は、
膀胱子宮内膜症の可能性も考え、泌尿器科または産婦人科を受診してください。

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