2024/2/6

放置は厳禁!男性は女性の3倍高い発症率 ~膀胱がん~│【一般泌尿器科】(越谷・春日部)

いわさ泌尿器科クリニック(越谷・春日部)です。

泌尿器科では、尿に関するさまざまな臓器を扱いますが、
なかでも膀胱は、腎臓から送られてくる尿を一時的にためて体外へ排出し、
体内を清潔に保つ役割をもつ大切な器官です。

膀胱の機能が悪くなると、頻尿排尿時痛
残尿感などさまざまな不快な症状が現れます。
このような症状をきたす病気には、膀胱炎や、
膀胱以外でも尿管結石前立腺肥大など複数あるため、
同様の症状をきたす「膀胱がん」は、
そのなかに紛れてしまい診断が遅れてしまうケースもありますので注意が必要です。

本日は、膀胱がんについて、ご説明させていただきます。

膀胱がんの冒頭画像

~罹患率は?~

膀胱がんの発症率は10万人あたり7人です。男性の発症率のほうが女性より約3倍高くなっています。
癌全体でみる発症率は男性の前立腺がん、女性の乳がんほど高くありませんが、
膀胱がんは発見が遅れると肺やリンパ節に転移しやすく、早期発見が重要です。

~5年生存率は?~

膀胱がんは、がんが上皮のみに限局している(とどまっている)早期がんの場合は、5年後の生存率は87%とされていますが、進行がんの場合は予後が急に悪くなります。
がんが膀胱の筋肉にまで達している段階(ステージII、III)では43~57%、遠隔転移がある段階(ステージIV)では19%と低下し、進行するにしたがって5年生存率は低くなることがわかります。

~膀胱のどこにがんができるのか?~

膀胱は骨盤の中にあり、男性は恥骨と直腸の間に、女性は恥骨と子宮・膣の間に存在し、伸縮性のある筋肉でできている、袋状の臓器になります。
膀胱の内部は「尿路上皮」という粘膜で覆われて、それにより臓器は守られていますが、その粘膜(尿路上皮)に癌細胞が発生することを膀胱がんといいます。

膀胱がんの冒頭画像

~早期がんと進行がん~

膀胱がんは、粘膜(尿路上皮)にがん細胞が発生しますが、
そのまま粘膜にとどまっている段階を「早期がん」と呼び、この場合は尿道から内視鏡(膀胱鏡)を入れてがん切除を行う内視鏡手術が可能になります。
しかし、がん細胞が筋肉(筋層)まで達した・あるいは越えてしまった場合は、「進行がん」と呼び、膀胱を全摘出するという治療方針になります。

このように、がん細胞が表面の粘膜にとどまっているか、筋層を越えているかで、治療方針は大きく変わるため、早期発見が非常に重要になることがわかります。

~膀胱がんの症状をまとめると~

  • 無痛の血尿
  • 無痛の血尿が、出たり出なかったりする
  • 頻尿
  • 排尿時に痛みを感じる
  • 残尿感がある
  • 尿意切迫感(突然我慢できないほどの強い尿意が現れる)がある

膀胱がんの症状でもっとも多いのが「血が混ざった尿」で、結石や膀胱炎と違って痛みを感じません。
この血尿は、1回出たと思ったらしばらく出ない時期があるのを繰り返す場合があります。
また血尿には、目で見てわかる肉眼的血尿と、目でみても血尿と認識できず、検査をしたらわかる顕微鏡的血尿があります。
膀胱がんは、ほとんどが肉眼的血尿になるのが特徴です。
膀胱がんが進行すると、尿が出にくくなったり、わき腹や腰、背中が痛んだり、足がむくんだりする場合があります。

膀胱がんが男性に多い3つの要因

~膀胱がんの危険因子~

・喫煙:膀胱がんの最大の危険因子は喫煙になります。
このため女性より喫煙率の高い男性に膀胱がんが多いと考えられています。膀胱がんを発症した人のうち男性は50%、女性は30%以上が喫煙が原因とされていて、喫煙歴のある人は約2倍、現在も喫煙している人は約3.5倍、非喫煙者よりも膀胱がんを発症しやすいことが報告されています。

・職業性:現在は製造禁止とされている染料など、特定種の化学物質を扱った経験のある人、特に、化学工場や塗料工場での作業経験のある人は、発症のリスクが高まることが報告されています。

・遺伝素因:何らかの遺伝的要因で、男性の尿路上皮の遺伝子が変化することにより、がん化すると考えられています。

【その他の危険因子】

・コーヒー:コーヒーに含まれるカフェインが細胞周期を乱して発がんに関与するといわれています。

・特定の医薬品:鎮痛剤で使用されたフェナセチン(現在は販売中止)や、白血病治療に用いられるシクロフォスファミドなどが膀胱がんを誘発されるとされています。

・加齢:膀胱がんは50歳以上の方に好発し、60歳を超えると発症率が急増するといわれています。

・発がん物質:子宮がんや卵巣がんなど、骨盤内の病気による放射線照射が、膀胱がんの発症に関与するといわれています。

・膀胱内の慢性炎症:膀胱結石や、重度で長期の膀胱炎などの慢性炎症による感染が、膀胱がんの発症に関連するといわれています。

上述の危険因子が複数当てはまるかたは、早めの検査をお勧めします。

~予防のポイント~

・禁煙:最大の危険因子であるタバコを止めることで、発症のリスクを大幅に減らすことができるといわれています。

・職業性曝露を避ける:化学工場や塗料工場など化学物質に接触する可能性のある職業の方は、防御服・手袋・マスク・メガネなどを使用して、化学物質に触れる機会を極力少なくします。

・水分摂取量を多くする:腎臓で尿に排泄された発がん物質は、膀胱に一定時間溜まります。これにより膀胱の上皮細胞は、一定時間発がん物質に触れることになります。
水分を多く摂取すると、より多くの尿がつくられて発がん物質が薄まったり、膀胱に溜まる時間が短縮されたりして、発がん物質の影響を軽減できます。

膀胱がんは発見が遅れるケースもございますので、ご心配の方は、いわさ泌尿器科クリニックのご受診をお勧めいたします。
当院では、がんの進行状況に応じて連携病院へのご紹介をさせていただいております。
お気軽にご来院ください。

いわさ泌尿器科クリニック

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